こだわり農法
安全で美味しい柿作りのために、有機農業の考えを取り入れています!
有機肥料で、フカフカの土づくり!
同じ産地、品種でも農園ごとに作り方は違います。
後藤柿農園では堆肥や稲わら、有機石灰、緑肥など
有機質肥料を利用し、フカフカの土づくりをしています。
肥料と言えば化学肥料が主流ですが、化学肥料ばかり与えると土壌は硬く締まり、微生物もどんどん減っていきます。しかし土壌こそが植物の土台です。弊農園では10数年前から有機農業の考え方を取り入れ、理想の土づくりを追及しています。値段は高くても、美味しい柿だと自信を持っています。
土は有機物を投入することで生態系が戻ってきます。生物多様性に富む土壌は柔らかくフカフカ、肥料分をよく蓄えてくれます。また、科学的な視点からミネラル分の補給や、肥料の過不足をなくすようにしています。柿だけでなく、土も知る。ゴールはありませんが、より美味しく安全な柿作りへのこだわりです。
堆肥を畑に撒いています。堆肥は肥料としてだけでなく微生物の栄養にもなります。微生物が増えると土は柔らかいフカフカな土になります。以前は馬糞堆肥を使っていましたが、最近は鶏糞堆肥を使っています。 |
除草剤を使わず、草を活かした草生栽培です。草の根が土を柔らかくし、長くなったら草刈りをします。刈られた草は微生物の餌となり、さらに土が柔らかくなります。 |
(注)有機農業の考えを取り入れていますが、有機農業ではありません。特に果樹は非常に病害虫が発生しやすいため、防除を行わないと大半の果実が被害を受けます。弊農園では「ぎふクリーン農業」に準じ防除を行い、従来より減農薬に取り組んでいます。また、除草剤は一切使用していません。
栽培方法
光をたっぷり受け取る剪定
主枝や亜主枝という骨格となる枝を真っすぐに伸ばします。それらの骨格枝から、柿が実る細い枝を左右に広げるように配置します。その間隔を広くし、内向きの枝も極力切ることで、葉っぱが全体的に広がり採光性が高くなります。枝を少なくするため収穫量は減りますが、光合成がとても効率よく行われ、栄養が果実にたっぷり回ります。
堆肥や草生栽培で土を柔らかく
剪定をしながら、1月末〜2月上旬に堆肥を撒きます。堆肥は土壌微生物の大好物! また、除草剤を使わず、シーズンを通して草生栽培をしています。刈った草も分解されてたくさんの有機物が畑に補充されます。堆肥と草生栽培でたくさんの微生物が繁殖し、土が充実しフカフカに柔らかくなってきます。美味しい柿作りを土台から支える土づくりです。
早期摘蕾で栄養を集中
柿は新しく伸びてきた枝にたくさんの蕾がつきます。蕾が生長する際には多くの養分を消費しますので、余分な蕾を取る摘蕾(てきらい)という作業をします。できるだけ早く終わらせることが大切ですので、5月中に1回目の摘蕾を終了させ、6月半ばに2回目も終了させます。また、残す蕾も通常の1枝1果より減らして、その分、残った蕾の成長を促しています。
着果数の制限でもう一押し!
摘蕾のあと7月に摘果(てっか)という最終的に残す柿を決める作業を行います。従来より最後に残す柿の数を20%以上減らし、残した柿にたくさんの養分がまわるようにしています。写真の枝ですと以前は4つ残していたのを3つにしました。また、上記の早期摘蕾に続き、摘果もお盆前には終わらせます。残した柿に養分が集中し、大きく甘い柿づくりを目指します!
土づくり
ちょっと専門的な土づくりの話
作物の生育に適した土壌をつくるのは、実に数年越しの作業となります。ところで、そもそも「よい土壌とはどんな土なのか?」と疑問を持たれると思います。よい土壌とは「物理性」、「化学性」、「生物性」に富んだ土のことであり、具体的には次の要素を持った土壌です。
- フカフカで通気性がよい
- 保水性と排水性がよい
- 保肥性が高い
- 様々な微生物が棲んでいる
フカフカで通気性がよい
「フカフカで通気性がよい」というのは、根が呼吸しやすく、伸びやすいということです。実は、柿に限らず植物も呼吸をしています。そして、地中深く張られた根も呼吸をしているのです。硬く締まった土だと、空気があまり入らないので呼吸ができず、根を伸ばすのも大変です。柔らかいフカフカな土は呼吸しやすく根も伸ばしやすくなり、足元から柿を丈夫にします。
保水性と排水性がよい
「保水性と排水性がよい」ですが、これは矛盾していますよね? しかし、それが可能なのです。この相反する性質を持つ土の構造を、団粒構造といいます。団粒構造とは大小の土の塊(団粒)が集まった構造です。その塊の間には隙間があります。団粒がスポンジのように保水性を持ちつつ、隙間を水や空気が流れるので排水性も高いのです。この団粒構造は微生物や昆虫によってつくられます。
保肥性が高い
「保肥性が高い」というのは、肥料を受け止める力が大きいということです。肥料は土壌中だとイオンとして存在しますが、保持できるイオンの量は土壌の性質によって決まっています。しかし、そのイオンを持つ手を増やすことができるのです。それは有機物によってできた腐食の働きです。有機物の分解過程である腐食が多い土は、肥料分もたくさん持つことができるのです。
様々な微生物が棲んでいる
「様々な微生物が棲んでいる」というのは、土づくりの根幹です。畑には柿が何十年と植えられていますが、化学肥料ばかり与え除草剤を何度も使っていると土の生態系が壊れ、土も固くなります。逆に堆肥を投入したり草生栽培をすることで微生物が繁殖し、その微生物を食べる昆虫が戻ってきます。微生物や昆虫が土を柔らかくし、団粒構造を作り、有機物を分解し、最終的には糞や死骸も栄養となる循環が生まれます。この生物多様性により、よい土壌ができて美味しい柿が成長するわけですね。
有機肥料を使うからこそ、科学的に
みなさん有機農業の野菜を食べたことはありますか? 有機野菜は安全で美味しいというイメージが強いと思いますが、それは必ずしも正しいわけではありません。上手な農家さんの有機野菜はとても美味しいですが、そうではないものも意外にあります。
その原因は科学的な知識ではないかと思います。特に肥料の過不足です。「有機ならすべての肥料分が含まれている」と勘違いして、ミネラルなどが不足していることも多いですし、過剰に肥料を与えすぎることもあります。有機肥料にも何がどれだけ含まれているかを知らなければいけません。また、与える状態によっては悪い微生物が繁殖することもあります。肥効が遅いので徒長したり生育が上手くいかないこともあります。
これらの障害を避けるため、できるだけ科学的根拠に基づいて有機農業の考えを取り入れています。もちろん、絶対はないので勉強と研究が欠かせません。
農業技術の向上
剪定、摘蕾、摘果など、すべての作業を自分たちでやっています
柿の収益性の低さや、高齢化、兼業農家の増加に伴い、畑の作業を外注する農家も増えています。農家にもそれぞれの事情があるので仕方がない面もありますが、当農園ではすべての作業を自前で行っています。
農業技術の研究
当農園は富有柿の栽培で全国的に有名な産地である岐阜県本巣市、糸貫地域で長年にわたり富有柿を栽培しています。この地域で進化してきた農法に加え、数年前より独自により安全で美味しくつくるための農法を研究しています。もちろん失敗もありますし、「最高」はありません。謙虚な姿勢で学び、新しいことに挑戦するをモットーにしています。