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柿畑の年間作業など

柿イラスト

柿に関するの1年の仕事を紹介します。柿は秋の果物ですが、年間を通して様々な作業があります。柿の生育や作業の簡単な説明を、写真を並べてみました。お楽しみください^^

また、後半では柿の生理障害や病害虫についての簡単に説明しています。

柿の年間作業

1月から2月

12月に落葉した柿は休眠期に入っています。柿畑は枝のみの殺風景な眺めです。寒くて雪も降る季節ですが、様々な作業をしています。特に大切なのが、剪定と粗皮削り、土づくりです。

剪定とは、樹形を整え、次の秋に収穫する実の量を調節する作業です。樹形調節は太い枝(主枝、亜主枝)で行い、着果量の調整は側枝や結果母枝という実のできる枝の調整で行います。あまり知られていませんが、柿は生育がとても旺盛で、自然のままだと20mもの巨木になってしまいます。また、実の数が多過ぎると小さい実になってしまいます。そのため、剪定はとても大切な作業です。当農園ではすべて自分たちで行っています。

正月の柿の芽 柿の木の剪定

正月の芽(今年も頑張るぞ〜)

剣山のような枝を整理します

粗皮削りというのは害虫対策です。柿の粗皮は隙間がたくさんあり、そこに樹幹害虫などが入り込みます。普通なら虫は冬の寒さには耐えられないのですが、粗皮に潜むと越冬し翌年に大発生することがあります。その越冬を防ぐための粗皮削りです。機械を使った大規模なものが2〜3年に一度、手作業では毎年行っています。

次に、土づくりは堆肥やワラなどの有機物の補給と、元肥の施肥です。土は堆肥をやることで、様々な微生物などが増殖し、フカフカの土になります。柔らかい土は、木が呼吸しやすく、栄養をたくさん蓄え、排水性と保水性がよい最高の土です。また、元肥は春から夏にかけての肥料です。当農園では従来の慣行農法のやり方だけでなく、有機農業の考えを取り入れて土づくりや施肥を行っています。

寒い時期にガチガチと震えながら行いますが、これらの作業が次のシーズンの柿収穫にとって大切です。

堆肥の投入 機械を使った粗皮削り

堆肥を撒きます。臭くないですよ(笑)

高圧放水器による粗皮削り

3月から4月

暖かくなると芽が膨らみ始め、新芽が出てきます。根も活動を始めますが、まだこの時期は活発ではありません。去年に蓄えた養分を利用し、梢や葉っぱを形成し成長します。4月に入ると梢がぐんぐん伸び、小さな蕾が見えてきます。また、緑の葉っぱが広がってきます。

冬の柿畑は枝しかない寂しい光景ですが、新しい芽や葉っぱが出てくると景色があっという間に変化します。新緑はとてもキレイで、柿が生きていると実感できる季節です。

この時期は、それほど作業がありません。元肥や粗皮削りは3月の上旬までに行います。また、接ぎ木をする場合は4月上旬に行います。

動き出した柿の芽 4月下旬の柿の芽

芽が動き出したと思ったら…

わずか2週間でここまで大きくなります

5月から6月

連休を迎えると日差しも強くなります。5月下旬には新梢の伸びが止まり、蕾が膨らんで花が咲きます。葉っぱも厚みを増して広がり、畑は緑に包まれます。花が咲くころにはミツバチが大量にやって、畑全体から地響きのような羽音がします。

5月上旬〜6月初旬の大切な作業が摘蕾(てきらい)です。新梢には蕾が5個ほどつくのですが、そのままだと栄養分が分散してしまい柿が小玉になってしまいます。蕾の形や大きさ、向き、周りの枝との配置を考えながら、結果枝1本につき蕾を1個ずつに調整します。ただし、結果母枝1本に結果枝が5本以上ある場合は、5個以内に調整します。

ところで、柿は開花を迎えると、本格的に根が活動し、養分を吸収します。逆に言うと、この時期までは前年に蓄えた養分を中心に活動しています。開花には多くの養分・エネルギーが使われますので、摘蕾はできるだけ早く終わらせるように行っています。

開花が始まると、薄黄色い花が咲きます。富有柿は受粉しないと落果しやすいので、受粉を行います。当農園では干柿やフジなどの品種を授粉樹として配置しています。天気が良ければ虫たちの活躍で受粉できますが、雨で自然受粉ができない場合は手作業で受粉をすることもあります。

柿の花 受粉を手伝うミツバチ

実は薄黄色な柿の花

ミツバチさんが受粉のお手伝い

6月に入ると、花の後に緑色のとても小さな実が見られます。赤ちゃん柿ですね。6月は猛烈に細胞分裂が行われています。数日経っただけでもわかるくらいの速さで成長し、10日で倍以上の大きさになります。また、柔らかく緑色だった新梢も、徐々に硬く茶色に変化していきます。これを登熟といいます。

さて、この成長中の小さな柿の実が自然に落ちてしまう「生理落果」という現象が発生します。これは成り過ぎを防ぐ自然調節で、原因は養分の過不足や受粉できなかったこと、梅雨による日照不足といわれています。生理落果は品種によって差がありますが、富有柿では受粉できていないものはほとんど落下するようです。

柿の赤ちゃん 6月下旬の柿の実

直径2センチほどの柿の赤ちゃんです^^

3週間でこれだけ大きくなります

7月から8月

梅雨が明け、強い日差しを浴びて果実が大きくなってくる時期です。そして、来年の花芽もこの時期に生まれます(花芽分化)。つまり、柿は果実を大きくさせることと、来年の花芽を準備するという、一番大変な時期に入るわけです。この時期は摘果(てっか)という最終的な果実の量を調整する作業と、追肥を行います。あまり果実を残し過ぎると小玉が増え、さらに翌年の花芽に回る栄養が減ってしまい隔年結果をもたらすことになります。摘果のバランスと、追肥を上手くやらないと安定した収穫はできません。

7月の柿 来年の花芽

7月には緑色の実が大きくなってきます

来年の芽です。果実の生育と同時進行で大変です

8月にはずいぶんと実が大きくなってきます。猛暑が続くと水不足になるので、土の状態を見ながら水をポンプで補給する年もあります。また、果実が大きくなって枝が下がってきます。その枝が台風で折れたりしないように、支柱を立てたりします。暑い日差しの下では大変です(笑)

9月から10月

夏が終わり秋に差し掛かったころ、早生品種の収穫が始まります。当農園はほとんどが晩生の富有柿なので、収穫はまだ先です。富有柿は大きくなってもまだ青いままです。鬼のように忙しくなる前の、つかの間の休息期です。

10月に入ると、渋柿や中生品種の収穫が始まります。そして富有柿も少しずつ色んできます。中旬あたりから収穫が始まりますが、量としてはわずかです。しかし、まだ葉っぱが旺盛に生い茂る中で、色んでいる柿を探し回るのは意外に時間がかかります。それでも11月からの忙しさと比べれば序の口です。

9月の柿 10月の柿

9月はまだ緑色ですがほんのり色づき始めます

10月には色みが進み、収穫が始まります

11月から12月

11月に入ると晩生の富有柿も色んできます。中旬から下旬にかけては、収穫ペースが急激に上がります。朝から夕方近くまで収穫、その後は選別と出荷となり、一番キツイ時期です。柿だけに、まさにカキ入れ時です…(笑) また、毎年買いにみえるお客様と再会できるのも嬉しい瞬間です。11月後半には柿の葉っぱも紅葉します。特に夕日に染まる葉っぱはとてもキレイです。

11月の柿 11月の柿-002

収穫期の晴れた空はコントラストが絶妙です

葉っぱや果実が夕日に染まります

その収穫も、12月の最初にほぼ終わらせます。この時期になると気温もかなり下がりますが、あまり下がりすぎると柿が凍傷にかかってしまいます。そのため、12月最初の週末あたりで全部収穫してしまいます。大量の収穫と選別はまさに戦場です。また、まだ色みが遅いものは倉庫に残しておいて、後日おすそ分けしたりします。霜さえ当たらなければ、寒さに耐える柿はとても甘くなります。

収穫が終わると、落ち葉を集めて燃やします。落ち葉には落葉病をはじめとして、様々な種類の病原菌が残っています。しっかり処分しないと翌年大発生してしまいます。また、管理が徹底できていない農園からの落ち葉流入を避けるため、農園の周りを布などで覆う作業も近年は欠かせません。

12月の柿 12月の柿-002

葉っぱも落ちながら最後の収穫です

葉っぱを集めて燃やします。焼き芋もします(笑)

柿の生理障害、病気、害虫

柿の生理障害

ヘタスキ

ヘタスキとは果実のヘタと果肉部の接着部に、大きな隙間ができることです。ヘタに隙間なので、ヘタスキですね。重症の場合は外観が悪くなるだけでなく、ヘタスキの周辺だけが早く成熟し柔らかくなり、商品価値がなくなってしまいます。富有柿では、最後の発育期である9月以降の成長を受け、10月上旬に発生します。

予防策としては、摘蕾や摘果を早く行いヘタの大きなものを残す、受粉をしっかり行う、肥料を過剰に与え過ぎない、夏季の降雨が少ない場合は灌水を行う、樹勢の見極めとバランスの良い剪定などがあげられます。

果頂裂果

果頂部(ヘタの反対側)に亀裂が発生し、時には雑菌が侵入し黒くなります。商品価値はありません。ヘタスキと同様、9月下旬からの最後の果実肥大期に発生します。富有柿ではあまり発生しませんが、次郎柿や御所系の品種は多く発生します。

汚損果

果実の表面が黒く変色することです。形状は線状のもの、かすれたようなもの、点状のものがあり、様々な症状があります。富有柿では一番発生頻度が高く、外観が悪くなり商品価値も損なわれます。しかし、皮を剥けば全く問題ありませんので、当農園では訳あり商品として販売しています。

柿の病気

柿の病気は糸状菌(カビの一種)によるものが多いです。発生してから防除しようとしても、効果は限られてきます。発生源をしっかりと抑えるため、特に収穫後の落ち葉処理は徹底しましょう。また、農薬の使用を減らすため、逆説的ですが予防的な散布を心がけることも必要です。

その他、予防策として畑の風通しを良くすること、窒素肥料を過剰に与えないこと(徒長し軟弱な枝になるため)、葉っぱに水をかけないことなどがあげられます。

炭そ病

果実、枝、葉に黒い楕円形の病斑が現れます。糸状菌の一種で柿だけでなく様々な野菜、果実に発生します。病斑部は円形に広がり(楕円形や紡錘形もある)中心が灰色になったり、病斑部がくぼんできたりします。ひどくなると中心に穴が開いて枯れてしまいます。柿では最も重大な病気であり、特に台風などの暴雨で大きく広がります。前年に発生した場合は、枝などに病原菌が潜んで翌年も発生しやすくなります。

発生時期は春から秋と長く、特に梅雨や台風の時期に発生しやすいです。発生してからの防除は困難なので、発生時期には予防的な防除を行います。また、込み合った枝を剪定し風通しをよくすることや、肥料のやり過ぎにも注意が必要です。もし発生した場合は、発生部位をすぐに取り除き、焼却や土中深く埋めるなどします。

うどんこ病

葉の裏側がうどん粉をかけたように白くなる症状です。ですが、春から夏までの初期症状は紫や黒色の墨のような色をしています。裏から見ると、葉脈部分に沿って黒くなります。8月下旬から白いうどんこ病の症状が出てきます。うどんこ病はカビの菌糸が原因で、野菜など多くの植物に対する病害です。柿では果実に直接被害は与えませんが、葉の機能が低下することで光合成不足となり、果実や樹木の生育に悪影響を及ぼします。

発生する前に予防的な薬剤散布と、収穫後の落ち葉処分を徹底します。また、近隣に管理が不徹底な農園があると、風で落ち葉が飛んで感染することもあります。農園の周囲にネットを張るなどの対策も必要です。

落葉病

角班落葉病と円星落葉病があります。葉に褐色で周囲が黒い斑点ができ、症状がひどくなると葉が早期に落ちてしまいます。収穫前に落葉すると光合成不足により、果実の生育が悪くなります。また、翌年の養分も貯められず、木が徐々に弱っていきます。越冬した菌糸から5月頃に子のう殻が形成され、胞子が風雨で飛散・拡散し、気孔から感染します。角班落葉病は7月から発生し、長期間にわたり発病が続きます。円星落葉病は9月から発病しますが、急激に広がります。

うどんこ病と同じく、発生前の予防的な薬剤散布と、落ち葉の処分を徹底します。農園の周囲にネットを張り、感染した落ち葉の侵入を防ぐ対策も必要です。

灰色カビ病

同じく菌糸による病害で、若葉や幼果に発生します。若葉は灰褐色になり、幼果は小黒点が発生します。灰色カビ病も多くの作物を犯す菌であるため、周辺からも侵入して伝染します。発病後は拡散し、落葉しやすくなるので被害は大きくなります。富有柿ではあまり発生しませんが、伊豆や西村早生などは多く発生する場合があるようです。

発生時期は4月上旬〜中旬で、降雨が続くと大発生する場合があります。防除だけでなく、収穫後の落ち葉処理、被害を受けた葉や幼果の除去、肥料過多などにも注意が必要です。

すす病

カイガラムシやアブラムシなど、木の養分を吸う害虫の排泄物に病原菌が繁殖し発生します。黒色のすす状のカビが葉や枝、果実を覆い、すすをかぶったような症状が現れます。果実は光沢を失い、ヘタは枯死してしまいます。病原菌には6種類以上が確認されていますが、いずれも害虫の出す排泄物に寄生します。

特にフジコナカイガラムシが多発している農園では激しく併発します。カイガラムシの防除に重点を置き、込み合った枝を整枝し風通しや日当たりをよくすることが大切です。

黒星病

葉や新梢、若い果実に発生します。発病期は葉が開いた時期から、6月中です。葉には黒い斑点ができ、内部は褐色になります。新梢も黒い斑点ができ、中央部がくぼんだり裂けたりします。枝は炭そ病と同じような症状が出ます。果実では数ミリの黒い病斑ができますが、炭そ病とは異なり中央部がへこむことはありません。

黒星病も菌糸が原因です。春先から6月にかけて、気温が低く多雨だと発生しやすいです。他と同じく、被害を受けた落ち葉などの処理や、整枝などの管理が大切です。

すす点病

果実の表面のワックス成分(ブルーム)が消失し、小さな黒い点が無数現れる病気です。7月上旬から発生します。見た目は悪くなりますが、果実への侵食はありません。枝や葉っぱには発生しません。

すす点病も菌糸が病原菌です。ブルームを栄養源としているので、柿以外にも多くの果樹などに発生します。園内に他の宿主植物があると発生しやすくなります。柿は密植を避けましょう。

柿の害虫

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後藤柿農園

でらうま柿農園 富有柿.comを運営する後藤柿農園は、富有柿発祥の地からほど近い岐阜県本巣市(旧糸貫町)にあります。全国的にも有名な富有柿のブランド産地で、当農園はかれこれ80年ほど柿を栽培しています。

柿作りに「最高」はありません。お客様の喜ぶ顔を糧に、常に「より美味しい」、「より安全」な柿を作ろうと挑戦し続けています。

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